体調管理の基礎知識

シャントの保護

小川 智也 先生

2019.10.04

小川 智也 先生(埼玉医科大学総合医療センター 教授)

どうしてシャントは大切?

血液透析を行うためには良好なシャントを持っている必要があります。良好なシャントとは、以下の3つを満たすものです(図1)。

図1:良好なシャントとは

ただ、針をさすのは先生やスタッフですし、血液の出し入れもスタッフが行います。良好なシャントを持つために、患者さんにできることはあるでしょうか。

シャント関連の合併症

2011年版 日本透析医学会「慢性血液透析用バスキュラーアクセスの作製および修復に関するガイドライン」 には、シャント関連の合併症として以下のものが挙げられています(図2)。

図2:バスキュラーアクセスに関連する合併症

これらの合併症で一番わかりやすいのは、血管の狭窄、血栓による閉塞、感染や瘤形成でしょう。
トラブルへの対処や治療は、できるだけ早いほうが患者さんの負担も軽減されます。したがって、透析施設のスタッフが異常を見つける前に、患者さん自身が早期発見することが望まれます。

患者さんができるシャントトラブルを発見するために

患者さんが具体的なトラブルを発見するのはなかなか難しいですが、図3に示すように、患者さん自身やご家族にできることはあります。

図3:シャントトラブルを発見するためにできること

これらを行って見つかった異常は、多くの場合、図2の1〜11のどれかに当てはまります。

シャントは患者さん自身で守るもの

シャントの異常は、透析開始前に現場スタッフが発見するケースが多いようです。しかし、シャントの閉塞は透析開始直前に起こるわけではなく、大抵は自宅で閉塞していても気が付かず、透析施設で初めて分かるのです。
したがって、患者さん自身が普段からシャントに興味を持つことが重要です。自分のシャントをよく見て、よく触って、よく聞こうと実践することが大切です。もし自分のシャントに変化があった時は、ただちにスタッフに申告しましょう。

シャントをケアしましょう

シャントにとって一番大切なことは、スムーズに血液が流れることです。一番良くないのは、血流の遮断です。無意識に遮断していることもあるので、普段から以下の点に注意しておきましょう。

図4:シャントを守るために注意しておきたいポイント

これらの動作は短時間なら問題ありませんが、長時間続くとリスクになります。

一方、テニスなどのスポーツは大丈夫ですかと質問されることがあります。私は、大いにやってくださいと答えています。あえて避けるのであれば、バレーボールのようなシャントに直接ボールが当たるスポーツですが、たいていの動作には十分耐えられますので、積極的に活動をしましょう。

身近なシャントに関する疑問

(1)透析治療後の穿刺針部分の絆創膏はいつ剥がすのか

針を刺している部分に菌が入らないように、日頃からシャントを清潔に保つことが重要です。針を抜いた直後、絆創膏は穿刺部を保護します。個人差もありますが、時間がたつと穿刺部分も痂皮(かひ)ができます。一方で次第に絆創膏自体も汚くなります。厳密な時間までは決まっていませんが、透析翌日には絆創膏をはがして、シャントを清潔にしましょう。
ところで、穿刺をする前にシャントをきれいにしていますか? 穿刺前に自分で手洗いを励行していますか? スタッフの消毒操作だけで十分と思いがちですが、自らがきれいにする努力が大切です。

(2)透析日はお風呂に入っていいですか

透析終了後のお風呂については議論が分かれるところですが、原則お風呂に入ることは避けるべきでしょう。お風呂の水はやはり汚いことと温熱効果によって血圧が下がりやすくなるので推奨できません。どうしても入浴される際には、穿刺部分は保護した方がいいでしょう。特に循環風呂はレジオネラ菌の宝庫であり、絶対避けるべきです。

患者さんへのメッセージ

我々医師は、元気な患者さんとお会いするのが楽しみです。透析治療のない時には、いろいろなチャレンジをしていただきたいと思っております。
確かにシャントは大切ですが、過剰な心配は不要です。できることをしっかり取り組んでいただければと思います。

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