◆血液透析患者さんの旅行の「壁」
腹膜透析(PD)の長所としてよくいわれるのが、フレキシブルな生活が送れる点。旅行もその一つで、全国各地へ足をのばし、アクティブに過ごすPD患者さんの話をよく聞きます。
では血液透析の場合は? というと、これも決して不可能な話ではありません。記事「旅行はできますか?」でもご紹介したように、血液透析患者さんも、健康状態が安定していて主治医の許可がおりれば、問題なく旅行を楽しめます。
ただ、定期的な透析は欠かせないため、数泊する場合は、あらかじめ旅先での透析施設を確保しておく必要があります。
旅行者を受け入れてくれる透析施設を探し、問い合わせ、依頼をする。それをもとに旅行全体のプランを考える——。一連の手続きは、旅慣れていない方にとってはかなり抵抗があるかもしれません。そしてこれが海外となると、ハードルはぐんと上がるでしょう。
もちろん、旅行代理店や予約代行専門業者に予約を頼む方法もありますが、もっと手軽に、安心して海外旅行を楽しみたいのであれば、透析患者さん(および同行者)向けのパッケージツアーを利用するのも一つの手です。
◆手間をかけずに「安心」が担保できる
現在、国内には、透析患者さん向けの海外パッケージツアーを企画している旅行代理店がいくつかあります。代表的なところでは、近畿日本ツーリスト関西やJTBコーポレートセールス、大阪旅行などです。
数日間のツアーの中には、病院での透析がきちんと組み込まれているので、安心して身を任せることができます。一般のツアーに比べると値段は高めですが、手間をかけずに「安心」が担保されるという意味では、それだけの価値があると思います。
行き先も様々で、例えば近畿日本ツーリスト関西では2018年内に「クロアチア9日間」「台湾周遊6日間」「ハワイ6日間」が企画されているようです。
こちらのツアーは全行程に加えて病院にも添乗員が同行するそうなので、より安心かもしれません。興味があればチェックしてみてください。
こうしたツアーは、参加者がみな透析患者さん(および同行者)である点も心強いポイントです。同じ境遇を持つ人同士、気兼ねすることなく同じひとときを過ごす。旅が終わる頃には、かけがえのない仲間となっているかもしれませんね。