MediPressリポート

「ゆでこぼし」でリンはどれだけ減る?

MediPress透析 編集部

2022.04.08

MediPress透析 編集部

◆高リン血症の患者さんが悩む「リンの減らし方」

高リン血症の患者さんが頭を悩ませる問題の一つが、「食事でどうやってリンを減らすか」です。
料理で上手にリンの摂取量を減らすには「食品選び」と「調理方法」がポイントと言われますが、今回、その「調理方法」の一つである「ゆでこぼし」にどのくらいのリン減少効果があるのか、市川和子先生(川崎医療福祉大学 医療技術学部臨床栄養学科 特任准教授(取材時))に教えていただきました。
※2021年1月取材

◆加工食品の「ゆでこぼし」データを紹介

そもそも「ゆでこぼし」とは、食品を茹でた汁を捨てることです。
茹でると、食品の中に含まれるリンの一部が湯に溶け出すので、その茹で汁を飲まないようにすれば、その分、リンの摂取量は少なくなるわけです。
リンが多く含まれる食品はいろいろありますが、今回は加工食品に対して「ゆでこぼし」を行った時のデータをご紹介します。
(以下、川崎医療福祉大学 医療技術学部臨床栄養学科 市川和子先生、武政睦子先生による研究報告)

◆ウインナー編〜切り方や茹で時間で溶け出すリンの量は変わる

食品成分表によると、ウインナーに含まれるリンの量は、一般的に100gあたり190mg程度とされています。
そこで、ウインナーを(1)丸ごと茹でる場合、(2)横に半分に切って茹でる場合、(3)縦に半分に切って茹でる場合 で、茹で汁に溶け出すリンの量を調べてみました。

結果、縦に半分に切って茹でた方が、他の調理法に比べ、より多くのリンをゆでこぼすことができました。

また、ウインナーを茹でる時間別に、溶け出すリンの量を調べてみました。

10分間茹でた方が、3分間や5分間の場合よりも多くのリンをゆでこぼすことができました。

お湯に触れる断面を大きくしたり、茹で時間を長くしたりすることで、より多くのリンをゆでこぼすことができました。ウインナー自体に含まれるリンの量と比べてみると、以下のようになります。

インスタントラーメン編〜溶け出すリンの量は?

食品成分表によると、インスタントラーメンの麺に含まれるリンの量は、一般的に100gあたり110mg程度とされています。
市販のインスタントラーメン4製品に対して、麺を3分間茹でたときに溶け出すリンの量を調べてみました。

製品によって違いはありますが、麺100gあたり5~10mg程度のリンをゆでこぼすことができました。

◆「ゆでこぼし」で減らせるリンは多くても1/10程度

このように、ウインナーでも、インスタントラーメンでも、ゆでこぼしでリンを減らすことができます。
ただし、ご覧のとおり、ゆでこぼしで減らせるリンの量は、多くても全体の1/10程度のようです。
加工食品を食べたいときは、基本的には、1回あたりに食べる量や、食べる回数に気をつけることをお勧めします。その上で、ゆでこぼしも行うと、なお良いでしょう。

ページ上部へ