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リン値が高いとどうなりますか?

リン値が高くても、それだけでは体調の変化は感じません。なぜリン値が高いといけないのでしょうか。

体内に余分なリンが溜まると、カルシウムと結合して「血管石灰化」がおこります。血管石灰化は、心不全など、全身のさまざまな病気を招く恐れがあります。

土田 健司 先生

2017.01.27

[監修] 土田 健司 先生(土田透析アクセスクリニック 院長)

リンは生命維持に欠かせないミネラルの一種です。通常、血液中のリンの濃度(血清リン濃度)は腎臓の調節機能によって一定に保たれています。しかし、腎機能が低下すると、リンが尿中に排泄されず、血液中に蓄積して「高リン血症」になります。

「高リン血症」になると、血液中のリンの影響によって副甲状腺ホルモンが過剰に分泌されます。それによって、骨のカルシウムが血液中へと溶け出し、骨がもろくなって骨折しやすくなります。

また、過剰なリンと骨から出てきたカルシウムが結合して、血管の壁に沈着する「血管石灰化」も進みます。血管石灰化は動脈硬化を招き、心不全、心筋梗塞や足の壊死など、全身のさまざまな病気を引き起こす原因となります(図)。そのため、自覚症状がなくても、リンの管理をすることがとても大切です。

図:血管石灰化が起こるしくみと影響

透析患者さんの血清リン濃度の管理目標値は3.5〜6.0mg/dLです。透析療法で除去されるリンの量には限度があるため、血清リン濃度を適正に保つためには、リンの摂取量を減らすことや、体に吸収されるリンを減らす「リン吸着薬」を服用することが必要です(表)。
リンを管理することで血管や骨を守り、元気に生活できるようにしましょう。

表:血清リン濃度を下げる方法

* 日本透析医学会「慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常の診療ガイドライン」, 透析会誌 45(4): 301, 2012

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