シャント瘤は、血管が局所的に様々な形に拡張した状態のことです。自己血管内シャント、人工血管内シャント、表在化動脈などにできることがあります。写真は、自己血管内シャントの吻合部にできた瘤です。
シャント瘤があるからといって、必ず手術が必要となるわけではありません。そのまま様子をみることも多いのですが、場合により手術が必要となることがあります。中でも、緊急手術対象となるのは、破裂の危険性や感染を伴っている場合です。瘤が急に大きくなる、瘤の部分の皮膚が赤い、光沢がある、びらんや潰瘍を認めるなどの場合は、出血や破裂の危険性があり、緊急手術の適応です。全身感染を伴うときは、シャント結紮(けっさつ)術を緊急で行います。
瘤が大きく、日常生活に不自由を感じる方もおられると思います。また、瘤の出口部の血管が細くなっていることがあり、シャント血流低下や閉塞の原因となることもあります。このような場合も手術の適応になることがありますが、これらの場合は待機手術を行います。
シャント瘤手術法の1例として、シャントを瘤より中枢側(上流)で新たに吻合し、シャント瘤を切除する方法があります(図)。
この場合、シャント血流が保たれているので、翌日の透析が可能です。症例により、また施設により手術方法はさまざまです。
シャント血流が増加することによりシャント血管が太くなり、穿刺も安定し、透析時に十分な血流量を確保できるため、シャント血管が太くなることは良いことです。しかし、夏場は半袖を着るとシャントの前腕が露出するため、見た目が気になることもあると思います。そのような場合、通院時や外出中に市販のアームカバーやサポーターのようなもので前腕を覆う方もおられます(写真)。
高価なものでなくても、いろいろなものがあるようです。注意点として、きつく締まってはシャント血流が止まってしまうため、大き目で、ゆるいものにすることが大切です。ゴムがあるようなものは避け、ゴムの部分は切ったり、取り除いたりするとよいでしょう。