透析療法のメリットとデメリット

透析療法の基礎知識

透析療法のメリットとデメリット

吉川 和寛 先生

2016.04.01

吉川 和寛 先生(岩手県立中央病院 腎臓・リウマチ科 医長)

透析療法がもたらしてくれるもの

末期腎不全に陥ると腎代替療法(透析療法または腎移植)のいずれかを行う必要が生じますが、中でも透析療法は、患者さんの大半が受けている治療方法です。
透析療法には血液透析と腹膜透析の2つがありますが、透析療法の最大のメリットは、「末期腎不全それ自体で命を落とさずに済む」ことです。すなわち、腎臓が働かなくなっても、透析療法という手段を利用して生活していくことができます。
透析療法は、現段階ですでに治療方法がかなり確立され、透析療法を受けながら何十年も生活されている方も全国に多くいらっしゃいます。末期の心不全や肝不全の場合は、透析療法のような代替療法がまだ十分に確立されておらず、現段階で長期に生きていくのが非常に難しいのが現実です。しかし、末期腎不全の場合は、透析療法を行うことによって前を向いて進んでいくことができます。これはとても大きなことです。

透析療法が代替するのは、腎臓の機能のあくまで一部

ただし、透析療法のデメリットもあります。透析療法はあくまで腎臓の働きの「一部」を代替しているにすぎず、完全な替わりにはなりませんので、他に内服薬・注射薬や生活管理を組み合わせて上手に生活していく必要があります。もちろん、腎臓それ自体を治療しているわけではありませんので、生涯にわたって続けていく必要があります。
血液透析では週3回、1回4時間程度の治療時間を必要とし、前後の通院時間も必要になります。腎臓であれば、1日24時間、絶え間なく働いて体のバランスを維持してくれていますが、血液透析は48時間分の腎臓の働きを、1回4時間程度という短時間で代替しますので、体の状態が急激に変わり、生理的でないその変化を負担に感じる方もいらっしゃいます。

図:腎臓と血液透析の働きのイメージ

その点、腹膜透析は毎日自宅で行うため、体の状態が急激に変わることもなく、通院も透析薬剤・資材の処方を受けるために月1回程度だけで済む、という利点があります。その一方で、毎日自分で能動的に行わなければならず、透析液の交換に1回30分程度、1日4回程度の時間が必要となります。
その他、透析療法の一般的なメリット・デメリットについては、4学会合同で作成され、毎年改訂されているこちらの冊子もご覧ください。

特に近年は、高齢者になられてから透析療法を始められる方も多く、その際には特に以下の表のような利点・欠点があります。

表:高齢者における血液透析と腹膜透析の利点・欠点(私見)

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