透析療法の種類

透析療法の基礎知識

透析療法の種類

北村 悠樹 先生

2016.04.15

北村 悠樹 先生(かつら透析クリニック 院長)

透析療法は大きく2つの方法に分けられます。1つは血液透析療法で、もう一つは腹膜透析療法です。それぞれについて説明します。

血液透析療法について

血液透析は、体内に貯まった余分な水分や老廃物(尿毒素、クレアチニンなど)を取り除く治療です。現在、日本では30万人以上の方が血液透析を受けており、治療成績は世界トップクラスです。日本では、透析患者さんの95%以上が血液透析を選択していることから、日本の標準的透析治療といえます。
一概に血液透析といっても様々な種類があり、たとえば、血液透析(HD)、血液濾過透析(HDF)、血液濾過(HF)などが挙げられます。現在は約90%が血液透析(HD)、残りは主に血液濾過透析(HDF)が実施されています。
最近は、HDFの中でも、オンラインHDFという新しい血液浄化療法が注目されています。対象疾患は主に透析アミロイド症や透析困難症で、これらの疾患に対して一定の治療効果があります。ここ数年は、オンラインHDFを導入している施設が増加しています。
血液透析の内容に関しては、長時間透析やオーバーナイト透析、頻回透析、在宅透析など(表)、標準的な血液透析(1回4時間・週3回)以外のやり方で実施している病院も多数あります。これらの治療に関しては、主治医や透析施設によって方針が異なることがありますので、よくご相談の上、方法を選択してください。

表:血液透析の種類

血液透析のしくみ

血液透析は、血管に針を刺して血液を体外に引き出し、ダイアライザと呼ばれる透析器(人工膜)を通します。この過程で、血液中にある老廃物(尿毒素、クレアチニンなど)や余分な水分を取り除き、浄化された血液を体内に戻します。
血液透析では、大量の血液を体外に出す必要があります。通常の静脈だけでは十分な血液が確保できないため、血管手術を行います。血管手術とは、動脈と静脈を皮下でつなぎ合わせて、「シャント」と呼ばれる血液の取り出し口および送り出し口を作る手術です。
血液透析は、1回4時間・週3回の通院が標準です。透析治療を受けることで、透析前と変わりない生活が送れます。

血液透析の長所

日本では、ほとんどの腎不全患者が血液透析を行っています。そのため、腹膜透析に比べて治療できる病院が多く、通院可能な範囲が広がります。また、一般的には、血液透析の方が腹膜透析よりも十分な毒素を取り除くことができ、余分な水分除去も十分可能です。
病院で行う血液透析は、病院スタッフが透析機械装置を操作するので、手技を覚えなくても安心して受けられます。
また、透析施行以外は自由に行動でき、国内外の出張および旅行が基本的に可能です。ただし、旅行先および出張先に血液透析ができる病院があることが前提です。

血液透析の短所

血液透析は、決められた時間に決められた場所でしか治療を受けることが出来ません。そのため、拘束感を感じる要因になります。透析を受ける病院を選ぶ際は、できるだけ自宅または職場近くの施設を勧めます。
また、血液透析では、透析のたびに針を刺す必要があります。穿刺による痛みは誰しも避けたい事ですが、痛みを和らげることは可能です。たとえば、針をペンニードルタイプに変更する、除痛用テープを貼るなど、方法はいくつかあります。
体への負担については、一度の血液透析で2〜3日の間に貯まった水分や毒素を一気に取り除くため、腹膜透析と比べるとかなり負担がかかります。
食事に関しては、塩分、水分、カリウムなどの制限に注意が必要で、常に気をつける必要があります。

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