はじめに
腹膜透析(PD)と血液透析(HD)を組み合わせて、それぞれの「良いとこ取り」をしたのが、PD+HD併用療法(併用療法)です。しかし、歴史的には決して「良いことばかり」ではありませんでした。
それでは日本発の併用療法の現状を見てみましょう。
PD+HD併用療法の始まり
CAPDを長期に継続すると、腹膜での除水が難しくなってくることが、1980年代の中ごろから指摘されるようになりました。そこで1990年代の初頭、わが国ではPDに週に1回HDを組み合わせることで、この問題を解決しようとしたのです。
このようにPDで除水ができなくなったときに、HDを併用したのがこの治療の始まりです。
PD+HD併用療法のメリット、デメリット
併用療法のメリットは、体液管理(除水)が容易になることのほかに、中・大分子尿毒素を効率良く除去できる点があります。わが国のHDでは最高性能のダイアライザが使用されているので、PDでは除去が難しい毒素を容易に除去することができます。
ただ、健康保険の関係上、現在はPDとHDとを同一施設で受けなければならないので、HDのために週に1回通院することがデメリットになることがあるでしょう。
どのような患者さん・状況で行われているか
併用療法は現在では、全PD患者さんの20%に行われる治療になりました。その導入理由も、除水や尿毒素の除去から、QOLの改善まで様々です。中には、透析導入時から併用療法を受けている方もいらっしゃいます。
PD+HD併用療法のその後
PDで管理が難しくなった患者さんに併用療法を適用することで、HDへスムーズに移行できるともいわれています。今では海外でも併用療法を行うところがあります。
この治療を「ハイブリッド療法」と呼ぶ人もいますが、何と何を組み合わせているのかが曖昧(HDF+I-HDFをハイブリッド療法と呼ぶ人もいます)なので、私たちは真似しない方がよいですね。