透析療法の基礎知識

透析液の役割と特徴

藤森 明 先生

2017.08.04

藤森 明 先生(甲南病院 副院長)

透析液の役割とは

血液透析治療では、腎不全患者さんの体内に蓄積している毒素を除去します。
その際に使う透析液には、毒素を効率よく除去する以外に、血液中の電解質濃度や、酸・塩基バランスを適切に調節するといった役割があります。

患者さんの身体の状態は少しずつ異なるため、本来であれば、それぞれの患者さんに最適な組成の透析液を使うべきかもしれません。
しかし、患者さんごとに透析液を作成するのはあまりにも煩雑なので、通常は誰に使用しても十分目的が達成できるように調整された透析液を、全ての患者さんに使用しています。

透析液は、人工透析用薬(透析原液)として製薬会社が製造しているものを、透析施設で溶解・希釈して使用しています(図)。
複数の会社が何種類かの人工透析薬を製造していますが、組成に違いがありますので、その点について解説します。

図:透析液の作製

透析液の成分(1)重炭酸 〜酸性に傾いた体を整える

腎不全になると、体液が酸性に傾き(アシドーシス)、細胞の働きが悪くなります。それを是正し、生理的な弱アルカリ性に戻すために、透析液にはアルカリ化剤である重炭酸が含まれています。
重炭酸の濃度は透析液によって異なり、25mEq/L、27.5mEq/L、30mEq/L、35mEq/Lなどの種類があります(mEq/Lはイオン濃度の単位です)。

アシドーシスを是正するには重炭酸の濃度は高い方がよいですが、逆に是正しすぎて血液がアルカリ性に傾くと、血管などにカルシウムが沈着する異所性石灰化が起こる恐れがあるといわれます。

なお、透析液には、中に含まれるカルシウムやマグネシウムが沈殿しないよう、酢酸やクエン酸も入っています。これらは「酸」と呼ばれますが、肝臓で代謝されて重炭酸になるため、アルカリ化剤として考えます。
一部の患者さんには酢酸が原因で嘔気・嘔吐などの不快な症状が現れますが、稀なことであるように思われます。

ページ上部へ