腹膜透析療法とその特長

腹膜透析療法(Peritoneal Dialysis:PD)は、内臓を覆っている腹膜を透析膜として使う血液浄化法です。心血管系などへの負担が少ない、残腎機能の維持も期待できるといった医学的メリットがあるほか、食事制限が緩やかである、血液透析と比較して通院回数が少ないなど、生活の質(Quality of Life:QOL)を高く保てる点が特長です。

腹膜透析では、図のように、お腹の中にカテーテルという管を通して透析液を貯留し、一定時間の後に液を出します。連続携帯式腹膜透析(CAPD)の場合は、この作業を1日3〜4回繰り返します。

図:腹膜透析

腹膜透析の溶質除去と水分除去のメカニズム

腹膜透析では、腹膜の毛細血管を流れる血液と透析液で、除去したい物質の濃度に差をつけます。つまり、透析液中の濃度を低くしておくのです。
それにより、拡散現象が起こり、血液中の除去物質が透析液へ移行します。移行は、電解質イオンや小分子量物質だけでなく、蛋白質などの大分子量の物質でも起こります。

また、水分に関しては、透析液にブドウ糖やイコデキストリンなどの物質を混ぜることで、浸透圧較差を生じさせます。水分を除去する能力(限外濾過能)は、腹膜の毛細血管を介した限外濾過と、透析液中の浸透圧物質がリンパ管に吸収される程度によって決まります。

限外濾過量やリンパ管吸収量、それに伴う除水量は、腹膜透析中も変化します。また、透析液の種類によっても異なります。

・ブドウ糖透析液の場合

腹膜透析開始時は、リンパ管吸収量より限外濾過量が多く、2時間前後で除水量は最も多くなります。その後、リンパ管吸収量の低下に伴い除水量は減少していきます。

・イコデキストリン透析液の場合

ブドウ糖透析液の場合と違い、貯留時間が長時間になればなるほど限外濾過量は増加し、除水量は増加します。これは、イコデキストリンが腹腔内にとどまっている時間が長く、腹腔内の濃度が下がらないことが大きな理由です。イコデキストリンは、リンパ管から吸収されますが、腹膜を介して血液中に吸収されることはほとんどないと考えられます。

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