2012年からオンラインHDFはすべての透析患者に実施可能
日本透析医学会の発表に、HDFを施行した理由に関する興味深い報告がされています(図)。
2012年に診療報酬が改定された時、オンラインHDF療法が用語として登場し(「慢性維持透析濾過(複雑なもの)」はオンラインHDFのこと)、その点数も、2,255点という、通常のHD(4時間以上5時間未満)よりも高い点数で認められました。
これまでHDF療法は、透析アミロイドーシスと透析困難症のみに適応疾患が定められていましたが、2012年の改定で適応疾患の枠がなくなり、オンラインHDF療法はすべての透析患者に実施できる治療となりました。それにより、若年透析患者への合併症対策での適応が増え、これまで治療困難であった皮膚掻痒症やむずむず脚症候群(restless legs syndrome)などにも適応されています。
オンラインHDFを実施するメリットとは?
現在、HDFの臨床効果は表のように考えられており、透析困難症と透析アミロイドーシスに関しては、一定の治療効果が報告されています。なかでも透析アミロイドーシスへの効果は絶大で、中井らの日本透析医学会統計調査報告でも、通常のHDを1としたときの相対リスクは10~100倍低いことが報告されています(*)。
ただ、現時点でも透析アミロイドーシスを根本的に治療する方法はなく、より早期からのオンラインHDFの適応というものがなされてくる可能性は大いにあります。
オンラインHDFを実施するデメリットとは?
一方、オンラインHDFにもデメリットがあります。治療効率で考える場合、その方法にもよりますが、
・小分子の老廃物の除去が悪くなる
・アルブミンなどの生体にとって重要な蛋白が除去される
・治療を提供する側にとっては、専用のマシーンを準備し、透析液の管理を強化する必要がある
・専用のヘモダイアフィルタを使用する必要があるが、その種類が現段階では少ない
などが挙げられます。
しかしながら、これまで除去できなかった老廃物の除去が可能になるという点ではメリットが非常に大きく、現時点ではデメリットは最も少ない腎代替療法といえます。
* Nakai S, et al., Am J Kidney Dis. 38(4 Suppl 1): S212, 2001