透析療法の基礎知識

腹膜透析の種類 〜CAPDとAPD〜

伊藤 恭彦 先生

2016.10.07

伊藤 恭彦 先生(名古屋大学大学院 教授)

腹膜透析(PD)にはCAPD、APDのほか、血液透析と組み合わせる方法(ハイブリッド療法)があります。それぞれの治療法は以下のとおりです。

CAPD(持続携行式腹膜透析)

CAPD(continuous ambulatory peritoneal dialysis:持続携行式腹膜透析)とは、ツインバッグを用いて、通常1日4回の透析液交換を手動で行い、24時間持続的に透析を行う方法です。
方法・操作は簡便ですが、透析液を交換する際に、それぞれ20〜30分程度を要します(図1)。PDの古典的かつ基本的な治療形態です。

図1:CAPD患者さんの生活サイクル

今日、従来の2Lの1日4回のバッグ交換(朝、昼、夕方、および就寝前)ではなく、少量の腹膜透析液(例えば1.3L)・低頻度(例えば1日2、3回)のバッグ交換で始め、尿量、残腎機能に合わせて透析量、回数を増やす「インクリメンタルPD」を採用する施設が多くなり、わが国の統計調査でもそのような結果が示されています。透析量が少ないと、1回のバッグ交換は15分程度です。

図2:CAPD 成人の退院時(導入時)の処方例

もちろん、1回あたりの注液量や貯留時間、透析液交換回数は、年齢、体重、臨床症状、臨床検査値、体液バランスなどによりますので、主治医の先生とよく相談してください。

APD(自動腹膜透析)

APD(automated peritoneal dialysis:自動腹膜透析)とは、自動腹膜透析装置(サイクラ―)を用いて透析液交換を行う方法で、先進国を中心に普及しています(図3)。

図3:各メーカーのAPD機器

APDは、以下の2つの方法に大別されます。

(1)NIPD(nocturnal intermittent peritoneal dialysis:夜間間欠式腹膜透析)

サイクラ―を用いて、夜間のみ透析液の交換(3~6回)を行う方法です(図4)。ヘルニアやリーク(透析液の滲出)、腰痛などの合併症のある患者さんや、CAPDで日中の腹部膨満感が強い患者さんに適しています。

図4:APD患者さんの生活サイクル

しかし、小分子量の物質除去が不十分になりやすいため、実施は十分な残存腎機能がある患者さんに限ります。尿量や残腎機能の低下、データの悪化、尿毒症症状の発現が心配される場合は、CCPDへの変更を検討します。

(2)CCPD(continuous cycling peritoneal dialysis:持続周期的腹膜透析)

NIPDに、日中の透析液貯留を加えた方法です。主に、残存腎機能低下に伴い、小分子の除去が不十分となった患者さんに用いられ、最も大きな透析量の得られる方法です。

APDの利点と欠点は次のとおりです。

■APDの利点

APDでは主に夜間就寝中に透析を行うため、透析による昼間の拘束時間が短く、社会復帰しやすくなります(CAPDでも3回のバッグ交換であれば社会復帰には適しています)。
APDサイクラーは、通常、寝室に設置します。APD使用下では、腹膜炎の機会が少ないといわれていましたが、最近の報告では差がないとされています。
仰臥位(ぎょうがい:上を向いて寝る姿勢)で行うことから、腹腔内圧が低く、多量の透析液を注液することができます。ヘルニア患者さんのように、腹腔内圧上昇が望ましくない人にも可能です。

■APDの欠点

APDサイクラーを設置するためのスペースや電源が必要です。
また、就寝中の体位変換で接続チューブやAPD回路がねじれ、APDサイクラーのアラームが鳴ってAPDを中断せざるを得なくなることがあります。
さらに、停電など緊急時の対応も認識しておく必要があります。
また、1回あたりの貯留時間が短くなり、中~大分子量物質の除去効率が落ちることがあります。加えて、頻回交換の短時間貯留では、ナトリウム除去量が少なくなることがあります。これらの点については、データをみながら主治医と相談をしてください。

APDは、注液量を増やすことが困難で透析不足になりがちな患者さんや、腰痛、ヘルニアといった腹腔内上昇による合併症をもつ患者さんに適しています。また、バッグ交換回数や透析量を増やす必要がある場合にも、良い適応となります。

腹膜透析+血液透析併用療法(ハイブリッド療法)

残腎機能がなくなり、腹膜透析だけでは毒素(溶質)が十分に除去できない場合は、週1回、血液透析を併用する方法(併用療法)が保険診療で認められています。
わが国の腹膜透析患者さんの約2割が併用療法を行っています。

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