透析療法の基礎知識

オーバーナイト透析

一色 啓二 先生

2017.11.10

一色 啓二 先生(富田クリニック(本院) 院長)

オーバーナイト透析とは

血液透析は腎代替療法のひとつですが、現在、一般的に行われている週3回・1回4時間の透析スケジュールでは、十分に腎臓の働きの代わりをしているとはいえません。

そこで透析効率を上げる方法として、「長時間透析」があります。例えば、週3回・1回8時間の透析で患者さんの予後がよくなることは、20年以上前から報告されています。
しかし、日中8時間の透析では、1日の生活時間のほとんどを透析に費やすことになり、非常に大きな時間的・肉体的制約が強いられます。

「十分な透析効率を得るために長時間透析をしたいが、仕事や学業、日々の日常生活も満足に過ごしたい」。そんな患者さんの希望を満たす方法が、「夜間の睡眠時間を利用した長時間の血液透析=オーバーナイト血液透析(Nocturnal Hemodialysis:夜の血液透析)」です。夜寝ている間に透析を行うことで、日中の生活への支障を避けることができます。

オーバーナイト透析にも2種類がある

オーバーナイト(血液)透析には、家庭で行う「在宅オーバーナイト透析」と、クリニックや病院などの施設で行う「施設オーバーナイト透析」があります(図)。

図:オーバーナイト透析の種類

在宅オーバーナイト透析は、在宅透析の時間帯を睡眠時間にあわせるため、1日おきや週4回、または週6回連日など、患者さんの生活にあわせて比較的自由なスケジュールで行えます。
一方、施設オーバーナイト透析は、通院透析と同じように週3回、定められた時間に来院し、透析を受けている間に眠って翌朝帰宅するというスケジュールが組まれます。

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