透析液の成分(2)カルシウム 〜近年は濃度が低め
腎不全では、血液中のカルシウム濃度がしばしば低下します。そのため、以前は血液中にカルシウムを補うために、透析液のカルシウム濃度は高めに設定されていました。
その後、副甲状腺ホルモンを抑制するためにビタミンDが使用されるようになり、その影響で血液中のカルシウム濃度が正常~高値の患者さんも増えてきました。
その結果、現在では主にカルシウム濃度の異なる2.5mEq/L、2.75mEq/L、3.0mEq/Lの3種類の透析液が使用されています。
ビタミンDを積極的に使用している施設では、濃度の低い2.5mEq/Lの透析液が好まれると思います。シナカルセト塩酸塩の影響で血液中カルシウム濃度が低い患者さんが多い施設では、3.0mEq/Lの透析液が適しているかもしれません。
このように、透析液の組成には違いがあり、それぞれ長所と短所があります。透析液に関心を持たれたなら、通っている施設ではどういう目的でどのような透析液が使用されているのか、質問してみるのがいいと思います。