「末梢動脈疾患(PAD)」は、足の動脈硬化が進み、血管が狭くなったり詰まったりして血液の流れが悪くなる病気です。初めのうちは、足のしびれや冷たさを感じる程度ですが、次第に歩くと足が痛み、休むと改善する「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」という症状が現れます。
病状が進行すると、安静時にも足が痛むようになり、さらに悪化すると皮膚のただれや壊死が起こり、下肢切断となる可能性もあります(図1)。
PADを防ぐには、普段からのフットケアが大切です。足を観察して肌に異常がないかをチェックする、足を清潔な状態に保つ、爪を長すぎず切りすぎないように整えるといったことに加え、靴選びも大切なポイントです。
靴は、足に靴ずれや胼胝(たこ)、魚の目ができないものを選びましょう。具体的には、きつい靴やゆるすぎる靴は避けます。試し履きをして、足にきちんとあったものを選びましょう。また、履くときには、紐やマジックテープをきちんと締める、縫い目などが皮膚に直接当たらないように靴下を履くといった配慮も大切です(図2)。
動脈硬化で足の血流が悪くなると、ちょっとした傷でも治りにくくなります。特に、糖尿病を合併した透析患者さんでは、神経障害により足の痛みに気づくのが遅れ、知らないうちに悪化してしまうケースもあるので注意が必要です。
ちょっとした変化や異常をキャッチするためにも、普段から足の様子を観察し、こまめなケアを心がけましょう。