透析患者さんで皮膚のかゆみを訴える人は多くいます。かゆみは不眠や強い疲労感などをもたらすため、生活の質も悪くしてしまいます。
その原因は様々で、全てが解明されているわけではありませんが、一つには①皮膚の乾燥があるといわれています。ほかにも、②毒素の蓄積、③透析機器へのアレルギー反応、④テープなどの物品の刺激、⑤薬剤の影響、⑥二次性副甲状腺機能亢進症、⑦血清カルシウム・血清リンの増加、⑧体内のかゆみの伝達異常などが、かゆみを招くといわれています。
かゆみを抑えるため、十分な透析やダイアライザの変更やお薬を使うなどしますが、それでもかゆみを抑えきれないこともあります。
患者さんご自身での対策も重要で、基本となるのは乾燥予防のためのスキンケアです。部屋を暖めすぎず、適度な湿度に保つ、入浴時にはやさしく洗い、入浴後すぐ保湿剤を塗る、下着は綿にするなどの方法で、刺激を避け、清潔と保湿を保つようにしましょう(図)。また、香辛料やアルコールは控えめにし、なるべくストレスを溜めないようにするとよいでしょう。
医師やスタッフに相談するときに、どんな時にどこがかゆくなるのか、どのくらいの時間続くのかなど、具体的に伝えると治療の助けになります。