血液透析では、ダイアライザの透析膜を境にして、血液と透析液が接しています。透析膜には小さな穴が空いており、一部の成分は通り抜けることができます。
例えば、ある成分の割合(濃度)が血液と透析液で異なる場合、濃度を均一に保とうとして、その成分は小さな穴を通り抜けて濃い方から薄い方へ移動します。しかし、穴を通り抜けられない大きな成分は、そのまま移動できずに血液に残ることになります。
このように、濃度の違いや成分の大きさの違いを利用して、必要なものだけを血液から透析液へ、あるいは透析液から血液へ移動させることができます(図1)。
透析液には、ナトリウムやカリウム、カルシウム、マグネシウム、重炭酸(※)等のアルカリ化剤、ブドウ糖などの成分が入っています。血液と濃度が異なるおもな成分を図2に示しました。透析液は、血液中の老廃物を除去するだけでなく、血液中の電解質濃度や酸・アルカリのバランス調整にも役立っています。
通常、1回の透析では120〜150Lの透析液を使います。透析液は、製薬会社が製造した濃い人工透析用薬(透析原液)を、各施設で透析用水により希釈して作ります。
透析原液の成分は製品によって異なります。自分の透析施設ではどのような目的でどんな透析液を使っているのか、興味があれば尋ねてみてください。
※重炭酸:アルカリ化剤の一種。老廃物の蓄積により酸性に傾いた体液を、生理的な弱アルカリ性に整えるために使用される。