リンには、食材にもともと含まれている「有機リン」と、食品添加物に使われる「無機リン」の2種類があります。
有機リンは、たんぱく質の多い食品に多く含まれています。代表的なものは、肉や魚、卵、乳製品、豆類です。また、同じたんぱく質の量であっても、リンが多いものと少ないものがあります(図)。リンを多く含む食品については、医師や栄養士の指導に従い、リンの値が適正になるよう食べ方に気をつけ、例えばたんぱく質の量のわりにリンが少ない食物を選択するなどの工夫をしましょう。
無機リンは、ハムやベーコン、練り物、プロセスチーズ、インスタント麺、缶詰、ファストフードなどの加工食品に食品添加物として使われています。ただ、食品添加物については成分表示が義務づけられていないため、食品にどれだけ無機リンが含まれているかがわからないのが実情です。
無機リンは有機リンに比べて、腸から吸収されやすく、血液中のリンの濃度(血清リン濃度)が上昇しやすくなります。そのため、全体のリンの摂取を抑えるためには、無機リンが多く入っている可能性のある食品添加物入りの加工食品はできるだけ避けた方が無難です。
リンは透析でも除去されますが、1回の透析で除去されるリンの量は約1,000mgと限りがあるため、1日の食事から摂取するリンの量を800mg以下にすることが基本で、それに加えて体に吸収されるリンを減らすリン吸着薬の服用が欠かせません。
ただ、リンの摂取を抑えようと、食事自体の量を減らしたり、極端にたんぱく質を控えたりしてしまうと、栄養不足に陥る恐れがあるので注意が必要です。最近はリン吸着薬の種類も増え、選択の余地が広がっています。
血清リン濃度の管理は、透析療法、食事療法、リン吸着薬の服用を組み合わせた総合的なものであることを認識し、医師や栄養士の指導に従い適切に行いましょう。