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ドライウエイトからどのぐらい増えてもよいですか?

体重増加が気になります。ドライウエイトからどのぐらい増えてもよいのでしょうか。

ドライウエイトからの体重増加は「中2日の場合は6%未満にすることが望ましい」とされていますが、医療機関の方針や体の状態によっても異なります。

土谷 健 先生

2017.06.02

[監修] 土谷 健 先生(東京女子医科大学 教授)

私たちの体には、常に水の出入りがあります。飲水や食事で水が補われるほか、体内で糖や脂肪を分解する際にも水がつくられます。そうして体内にたまった水分は、主に腎臓から尿として排泄されるほか、便、呼吸、汗となって体の外に出されます(図1)。

図1:体に入る水と、体から出ていく水

しかし、透析患者さんの場合は腎機能が低下して腎臓から尿としてうまく排泄できないため、体の水分量をうまく調節できません。
体に余分な水分がたまると心臓や呼吸器(肺など)に大きな負担がかかり、さまざまな症状や病気を招くことがあるため、透析によって余分な水分を除去する必要があります。

みなさんに設定されているドライウエイトは、いわば「体に余分な水分がない状態」の体重です。ドライウエイトから増えた分は、ほとんどが水分によるもので、いわゆる「太った」というのとは異なります。
(ただ、ドライウエイト自体も次第に変化します。透析患者さんも、体調がよくなり食事量が増えれば太ってきます。その場合、ドライウエイト自体もあらためて設定しなおされます。)

日本透析医学会のガイドラインでは、ドライウエイトからの増加量は、「中2日の体重増加は6%未満にすることが望ましい」とされており(図2)、中1日ではもっと少ない値です。

図2:ドライウエイトからの増加量の目安

ただ、この値は医療機関の方針や患者さんの身体状態によっても異なります。特に高齢者や心疾患のある患者さんはもっと少ない方が良い場合がありますので、通院している医療機関の指示に従ってください。

毎回の透析でのドライウエイトからの体重増加は、主に塩分や水分の摂取が原因です。普段から十分な制限を心がけましょう。

* 日本透析医学会「維持血液透析ガイドライン:血液透析処方」透析会誌 46(7): 587, 2013

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