秋になると、インフルエンザの流行に備えて予防接種を受ける方が増えます。
インフルエンザの感染経路には、「飛沫(ひまつ)感染」と「接触感染」の2つがあります。
「飛沫感染」は、感染者のくしゃみや咳などと一緒にウイルスが放出され、他の人がそれを吸い込むというものです。
「接触感染」は、ウイルスの付着した物品に他の人が接触することで、間接的にウイルスが感染するものです(図)。
血液透析患者さんは、週3回定期的に通院する、多人数が集まる透析施設に長時間滞在するなど、日常生活で感染しやすい環境に置かれています。ですから、あらかじめ感染を予防する手立てを取っておくことが大切です。
インフルエンザの感染予防には、手洗いやうがいのほか、インフルエンザワクチンの予防接種が効果的です。インフルエンザワクチンを注射すると免疫反応が起こり、インフルエンザウイルスを排除する働きを持った物質(抗体)を作ります。
透析患者さんのインフルエンザワクチンによる抗体陽性率は健常人と同じ、低いと報告は異なりますが、できた抗体は透析によって除去されないので、ワクチンの効果が薄れることはありません。
インフルエンザワクチンの副反応も、透析患者さんの方がより出やすいということはありません。
インフルエンザワクチンは、通常、効果が発現するまで2週間くらいかかります。主治医に相談の上、接種が可能であれば本格的な流行が始まる前に済ませておきましょう。多くの透析施設では予防接種を行っていますので、ぜひ検討してください。