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二次性副甲状腺機能亢進症って何ですか?

透析の合併症に「二次性副甲状腺機能亢進症」があると聞きました。腎臓と関係なさそうですが、どんな病気ですか。

腎機能低下で血液中のカルシウムが減り、リンが増えたために起こる病気です。副甲状腺から血液中のカルシウムを増やすホルモンが分泌されるため、骨の中のカルシウムが溶け出して骨が弱くなったり、過剰に増えたカルシウムが血管などに沈着したりします。

森石 みさき 先生

2018.03.23

[監修] 森石 みさき 先生(中島土谷クリニック 院長)

二次性副甲状腺機能亢進症とは、のどの甲状腺の裏側にある副甲状腺という臓器から「副甲状腺ホルモン(PTH)」が過剰に分泌される病気で、腎機能が低下した人に多くみられます。

腎臓には、体内のミネラルを調整する働きがあります。その一つが「 活性型ビタミンD3」というホルモンの産生で、腸管からカルシウムの吸収を促します。
そのため、腎機能が低下すると、活性型ビタミンD3の産生が低下し、腸管からカルシウムが吸収されず、血液中のカルシウム濃度が低下します。
すると今度は、血液中のカルシウム濃度を正常化するために、副甲状腺が刺激されてPTHが分泌され、骨からカルシウムを溶かし出そうとします。
また、腎機能が低下すると、リンが排泄されず高リン血症になりますが、これも副甲状腺を刺激する原因となります。

長期間刺激され続けた副甲状腺は、やがて腫れて大きくなり、血液中のカル シウム濃度に関係なく、PTHが過剰に分泌されます(図)。その結果、骨からカルシウムが溶け出して骨が弱くなるほか、血液中の過剰なリンとカルシウムが結合して血管などに沈着(石灰化)します。

図:二次性副甲状腺機能亢進症が起こるしくみ

二次性副甲状腺機能亢進症は、最初のうちは無症状ですが、進行すると骨折や体のかゆみ、関節の痛み、心筋梗塞などを招く恐れがあります。透析、食事、薬物治療で、血液中のリン、カルシウム、PTH濃度が適正になるようにコントロールすることが大切です。

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