1回4時間・週3回というのは、わが国で行われている血液透析の一般的な治療時間ですね。時間もかかり、頻回に通院するのは大変なことと思いますが、1回4時間・週3回というのは、24時間365日休まず働く腎臓の機能を代替するには十分とはいえません。
日本透析医学会のガイドライン*でも、週3回の血液透析の透析時間は「4時間以上」を推奨しており、今の時間・回数は、最低限守られるべき条件といえるでしょう。
血液透析で除去される体内の毒素の量は、「透析量」で判断されます。透析量にはいくつか指標がありますが、そのひとつに「 HDP(Hemodialysis Product)」というものがあります。HDPは「1回の透析時間」×「週の透析回数」×「週の透析回数」で算出され、HDPが高いほど、その後の合併症の症状が少なく、生命予後が改善されるといわれています(図)。
もし、現状のHDPを維持した上で1回あたりの透析時間を減らすとしたら、「透析回数を増やす(=頻回透析)」という方法が考えられますが、残念ながら頻回透析を実施する施設が少なく、通院で行うのは難しいのが実情です。また現状の保険制度では月14回を超える血液透析は認められていません。自宅でみずから血液透析を行う「在宅血液透析」ならば、1回3時間・週5回のような短時間・頻回透析も可能な場合もありますが、自己管理や金銭負担など、考えなければならない問題もあります。
透析条件は、残存腎機能や年齢、性別、活動量、食事摂取量、合併症などから総合的に判断して設定されます。合併症を予防し、健康的な日常生活を送るためには、今の透析量が最低限必要であると捉え、前向きに取り組んでいただければと思います。
* 日本透析医学会「維持血液透析ガイドライン:血液透析処方」透析会誌 46(7): 587, 2013