透析の合併症の一つに、末梢動脈疾患(PAD)という病気があります。PADは、足の動脈が硬くなり、血管が狭くなったり詰まったりして血液の流れが悪くなる病気です。
最初は無症状ですが、次第に足がしびれ、冷たく感じるようになり、さらに進行すると、歩行時には足が痛み、休むとおさまる「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」があらわれます。その後、安静時にも痛みを覚えるようになり、重症になると壊死や下肢切断に至ることもあります。
透析患者さんではPADを罹患している人が多く、自覚症状がない人も含めると、その割合は2〜4割ほどといわれます*1,2。気づいた時にはすでに血管が石灰化していたり、重症化していたりすることもあるため、注意が必要です。
PADを進行させないためには、普段から足の状態を確認し、いつもと違う状態を早く発見することが重要です。左右の足を比較しながら、以下のポイントを確認しましょう(図)。
①見た目 皮膚の色、爪の色/長さ/厚さ/形、足の形の変形、たこ・魚の目・傷など
②触った時 温度(熱感・冷感)、潤い(かさつき・ジュクジュク)、皮膚の硬さ、感覚の鈍さ
③痛み、かゆみ、しびれなどの自覚症状
これらに異変がない状態が良い足の状態です。少しでも気になる点があったら医師やスタッフに相談しましょう。
*1 Okamoto K, et al. Am J Kidney Dis 48(2): 269, 2006
*2 石岡邦啓ほか 透析会誌 42(Suppl 1): 525, 2009