末梢動脈疾患(PAD)とは
末梢動脈疾患(まっしょうどうみゃくしっかん、peripheral arterial disease:PAD)は、足の動脈に硬化が起こり、血管が狭くなったり詰まったりして、下肢の血液の流れが悪くなる疾患です。なかでも病状が重症化することを、重症下肢虚血(じゅうしょうかしきょけつ、critical limb ischemia: CLI)と呼びます。
透析患者さんのPADには表のような特徴があり、特に注意が必要です。
PADの症状
PADになると、最初のうちは、足がしびれたり、冷たく感じるといった症状が見られます。また、歩くと足が痛み出し、休憩すると痛みが改善する「間欠性跛行」も特徴的です。さらに病気が進行すると、安静にしていても痛む、皮膚のただれ(潰瘍)や壊死(壊疽)が起こる、といった症状があらわれます(図)。
急に動脈が完全に詰まると、疼痛のほか、肌の色が青白くなる、脈がふれないなどの症状や、知覚障害、運動障害が起こり、最終的に黒色化して壊疽(えそ)に至ってしまいます。
PADの検査
PADかどうかを確かめるには、まずスクリーニング検査を行います。手と足の血圧を測り、動脈硬化の程度や足の血管の詰まり具合をみる、足関節上腕血圧比(ankle-brachial pressure index:ABI)などの簡単な検査を、年1~2回行います。
スクリーニング検査で異常を認めたときは、精密検査を行います。精密検査には、血管エコーなどの非侵襲的検査や、造影CTや動脈造影などの侵襲的検査などがあります(図)。