透析の合併症

二次性副甲状腺機能亢進症

岡田 一義 先生

2019.02.01

岡田 一義 先生(川島病院 副院長)

二次性副甲状腺機能亢進症とは

副甲状腺は、甲状腺の裏側にある米粒大の臓器で、通常は左右の上下に計4つ存在し、副甲状腺ホルモン(PTH)の合成と分泌をしています(図1)。

図1:甲状腺と副甲状腺


PTHは、血液中のカルシウム濃度やリン濃度、骨のカルシウム量を調節する重要な役割を担っています。血液中のカルシウムの濃度が低下したり、リン濃度が上昇したりすると、副甲状腺からのPTHの分泌量が増加します。

副甲状腺そのものに原因がありPTHが過剰に分泌される病気を「原発性副甲状腺機能亢進症」、副甲状腺以外の病気が原因でPTHが過剰に分泌される病気を「二次性副甲状腺機能亢進症」といいます。二次性副甲状腺機能亢進症の原因となる病気の代表的なものに、慢性腎臓病(CKD)があります。

腎機能低下と二次性副甲状腺機能亢進症の関係

腎臓の重要な働きのひとつに、活性型ビタミンD3の産生があります。活性型ビタミンD3は、腸管からのカルシウム吸収を促して骨を丈夫に保つホルモンです。

腎機能が低下すると、活性型ビタミンD3が低下し、カルシウムが十分に吸収できなくなります。その結果、血液中のカルシウム濃度が低下します。また、尿中へのリンの排泄も少なくなり、血液中のリン濃度が上昇します。近年、腎機能低下がないリン負荷や腎機能低下によって、活性型ビタミンD3の合成を抑制するFGF23というホルモンが増加することがわかってきました。
血液中のカルシウム濃度低下は、副甲状腺を刺激し、PTHの分泌を促します(図2)。

図2:腎機能低下と二次性副甲状腺機能亢進症

適切な薬物療法によってPTHは低下しますが、治療を行わないで放置し、副甲状腺が刺激された状態が長期間続くと、副甲状腺は腫大してしまい、やがてどんな薬物療法にも反応しなくなってしまいます。

二次性副甲状腺機能亢進症が体に与える影響

CKDで認められる骨ミネラル代謝の異常は、骨の病変(腎性骨異栄養症)だけではなく、血管を含む全身の石灰化を起こし、生命予後を悪化させるため、医療者の間でも「CKDに伴う骨ミネラル代謝異常(CKD-MBD)」として注目されています。このCKD-MBDの病態の中でも最も重大な要因が、二次性副甲状腺機能亢進症です。

二次性副甲状腺機能亢進症では、過剰に分泌されたPTHが骨に作用して、骨から血液中にカルシウムとリンを溶かし出します。進行すると、骨密度が低下し、骨がスカスカの線維状になってしまい、骨や関節の痛みや骨折などの症状が現れます(線維性骨炎)。

そして骨から溶け出したカルシウムとリンが骨以外の部位に沈着すると(異所性石灰化)、さまざまな症状が現れます。

例えば、関節が石灰化すると関節が動かしにくくなり、痛みがでます。皮下が石灰化するとかゆくなり、重症の場合には潰瘍になります。眼の結膜が石灰化すると、眼が充血して赤くなります。血管が石灰化すると弾力性がなくなり、心血管病(心筋梗塞、心臓弁膜症、脳梗塞など)が起こります(図3)。

図3:二次性副甲状腺機能亢進症による影響

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