キーワード透析事典

ドライウエイト

どらいうえいと

Dry Weight

尿が出なくなってしまった腎不全患者さんでは、不要な水分が体に蓄積するようになります。通常、人工腎臓治療(血液透析など)の前後に体重を測定しますが、前回の治療後からの体重増加は水分がたまったことによるものです。脂肪で太ったこと(肥満)による体重増加ではありません。

治療ではこの余分な水分を取り除く(除水)のですが、この時の基準になるのがドライウエイトです。治療を開始する時、ドライウエイトに体重が戻るように除水量を設定します。例えば、ドライウエイトが60kgの患者さんが、62.5kgで治療に来られた場合、約2,500mL(施設により+αの調節をする場合もあります)の除水をおこなうことになります。

体液過剰の状態では、体にむくみがある、血圧が高い、胸部レントゲンで心胸比が50%をこえているといったサインが認められます(図)。

図:体液過剰のサイン

このような場合は、ドライウエイトが高すぎる(甘すぎる)ので、除水をしてドライウエイトを下げないといけません。むくみが消失し、血圧コントロールが良好となり、心胸比が50%以下となるような治療後の体重が、適正なドライウエイトとなります。

一方、治療中に血圧が低下する、こむら返りが起こる、治療後の倦怠感が強いといった場合は、ドライウエイトが低すぎる(きつすぎる)可能性があります(図)。

図:ドライウエイトが低い時のサイン

ドライウエイトが適正かどうか分かりにくい場合、心臓エコー検査をおこなったり、心臓に負担がかかった時に多く分泌される、心房性ナトリウム利尿ペプチド(hANP)というホルモンを測定して参考にすることもあります。

ドライウエイトは、いったん決まったらそのままずっと変わらないものではなく、体の状態により変化していくものです。体調が悪く食欲不振が続くようなら、当然、体は痩せてくるので、ドライウエイトは下げないといけません。逆に食欲が旺盛になってきたら、血圧低下や治療後の倦怠感が起こってくるので、ドライウエイトを上げる必要があります。

藤森 明 先生

2016.07.15

藤森 明 先生(甲南病院 副院長)

ページ上部へ