キーワード透析事典

プラズマ・リフィリング

ぷらずま・りふぃりんぐ

Plasma Refilling

血液透析では体内の毒素を除去するのと同時に、余分な水を除去(除水)しています。除水とは、血液中の水をダイアライザーの膜を介して除去することです。

例えば体重が65kgの患者さんだと、体重の1/13が血液なのでおおよそ5,000mLの血液が循環しています。この患者さんに2,500mLの除水をおこなった場合、単純計算で血液量が半分になってしまうことになります。これでは当然激しい血圧の低下がおこってしまいます。しかし実際は、透析治療中に血管外の水が血管内に移動して、血管内の水分量を保とうとする反応が生じます。

水は、細胞内から細胞外(間質)、そして血管内へと移動していくといわれています(図)。これをプラズマ・リフィリングと呼んでいます。プラズマ・リフィリングのおかげで、血液量の過剰な減少や大きな血圧低下をおこさずに透析治療がおこなえるのです。

図:プラズマ・リフィリング

水分が血管内に移動する理由はふたつあります。ひとつは、除水による血管内圧(静水圧)の低下です。これにより、間質から水分が入りやすくなります。そしてもうひとつは、血液中の蛋白質による水を引き込む力(膠質浸透圧)で、この力により水が移動するのです。

しかし、除水量が多過ぎると、プラズマ・リフィリングが追い付かなくなることがあります。そうなると、血圧は大きく低下し、下肢の痙攣(けいれん)、嘔気・嘔吐などの困った症状が起こります。したがって、透析中は血液量(ブラッド・ボリューム:BV)の変化をモニターし、プラズマ・リフィリングの具合をチェックしています。

BVモニターでプラズマ・リフィリングが除水においつかず、血液量が大きく減少していることがわかった場合には、除水速度を減らすなどの対応が有効と思われます。

また、全身状態のよくない患者さんでは、低蛋白血症のためにプラズマ・リフィリングが起こりにくく、透析中に血圧が下がりやすくなります。このような場合、高張塩化ナトリウム溶液や濃グリセリン・果糖注射液など、血液中の浸透圧を上げる薬剤を使用して、プラズマ・リフィリングを促進させ、血圧を安定させるような処置が有効だと考えられます。

藤森 明 先生

2018.03.02

藤森 明 先生(甲南病院 副院長)

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