キーワード透析事典

ダイアライザ

だいあらいざ

Dialyzer

腎臓の機能が低下または廃絶すると、“人工の腎臓”で血液を浄化する治療を受けなければなりません。その人工腎臓治療システムのまさに“心臓部”ともいえるのが、ダイアライザです。

1913年に世界で最初の動物実験が行われて以来、ダイアライザには多くの改良が加えられてきました。歴史的にはコイル型、平板型など色々な型式のダイアライザがありましたが、現在使用されているのは、直径が4 cm、全長が30 cm程のプラスチックの筒の中に、“そうめん”のように見える細いストロー状の膜が10,000本ほど束ねられた形をしたものがほとんどです。この型式のダイアライザを中空糸型といい(図)、装置の原型は1960年代後半にアメリカの大学の工学部で作られました。

図:ダイアライザの構造

中空糸の両端はポリウレタンという接着剤で固定されています(この部分を「ヘッダ」という)。ダイアライザに流入した血液はこの部分で10,000本の細い流路に分かれて流れていくため、見た目は小型であるにもかかわらず、透析液とは大きな接触面積が確保できるのです。

ダイアライザでは腎臓の主な機能のうち、老廃物の除去、余剰水分の除去、電解質バランスの補正という3つの重要なことが同時に行われています。血液を中空糸の内側に1分間に200 mL、透析液を中空糸の外側に血液とは反対の向きに1分間に500 mLほど流します。反対向きに流す(「向流」という)のは、その方が老廃物の除去効率が良いからです。日本ではいずれのダイアライザも1回使用後、使い捨てにすることになっています。

現代技術の粋を集めて開発されたダイアライザは、輸入品も含めて、複数のメーカーから多数の銘柄が販売されており、それぞれに特徴が異なります。ダイアライザの大きさは使用されている膜の面積で区別します。同じ銘柄でも、新生児が使用する小さなもの(0.5 m2)から、最大3.0 m2という大きなものまで品揃えがあるため、市販されているダイアライザの種類は実に膨大です。当然、病院によって採用されている銘柄は異なります。

山下 明泰 先生

2016.05.27

山下 明泰 先生(法政大学 生命科学部 教授)

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