キーワード透析事典

経皮的血管形成術(PTA)

けいひてきけっかんけいせいじゅつ

Percutaneous Transluminal Angioplasty:PTA

血液透析を受けるために必要なバスキュラーアクセスの中でも、自己血管内シャント(AVF)と人工血管内シャント(AVG)では、動脈の血液を直接静脈に流し込むことで大量の血液を短時間で透析できるようにしています。

しかし、AVFやAVGとして使用する血管が細くなると、透析を行うために必要な血液を十分に確保できなくなったり、時にはAVFやAVGとして使用している血管がつまったりすることがあります。

このように血管が細くなった部分を「狭窄」と呼びますが、皮膚にメスをいれることなく、カテーテルと呼ばれる手術用の器械を血管の中にいれるだけで狭窄を治してしまうのが「経皮的血管形成術(PTA)」です。

PTAでは、まず、治療用のカテーテルを血管に出し入れするための「シース」と呼ばれる管を、狭窄している部分につながる、少し離れた血管内に挿入します(図1)。その後、シースを通じて狭窄している血管内にカテーテルを進めます。

図1:PTAで使用するシース

PTAに用いるカテーテルである「バルーンカテーテル」は、カテーテルの中から高い圧力をかけると先端が風船状に拡がるようになっており、この先端部分を狭窄部で膨らませることにより、狭窄を血管の中から拡げることができます(図2)。

図2:PTA治療と血管の変化

通常、PTAを行う際には狭窄とその近くの血管の形を見えやすくするために血管内に造影剤を流しこみますが、最近では造影剤を使わずに超音波検査のみを使ったPTAも試みられることがあります。

細くなった血管をせっかく拡げても再び血管が細くなることがあり、また血管を拡げている間は血液の流れを一時的に止めてしまうため、治療の最中やその後に血管が詰まってしまうこともあります。
このような際には再度PTAで血管を拡げたり、詰まった血液の塊を取り除いたりする治療が必要になります。

ただ、血管を拡げようとしても上手く拡がらなかったり、拡げようとした血管が破れてしまったりすることもあります。短期間に何度も狭窄を繰り返す場合も含め、時には再度バスキュラーアクセスを作り直すことが必要になります。

西田 隼人 先生

2017.06.09

西田 隼人 先生(山形大学 講師)

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