「よくわかるPD-HDハイブリット療法」第61回日本透析医学会学術集会・総会レポート

MediPressリポート

「よくわかるPD-HDハイブリット療法」第61回日本透析医学会学術集会・総会レポート

北村 悠樹 先生

2016.06.24

北村 悠樹 先生(桃仁会病院 腎不全科 医長)

2016年6月10日〜12日の3日間、大阪で第61回日本透析医学会学術集会・総会が開催されました。
2日目の午後には、司会:熊本中央病院腎臓科 有薗健二先生、講演:(株)日立製作所 日立総合病院腎臓内科 植田敦志先生による、PD-HDハイブリット療法(血液透析と腹膜透析を併用して行う治療法)に関するセッションが行われました。

PD-HDハイブリット療法の利点と欠点とは

最初に補足しますと、PD-HDハイブリット療法とは、腹膜透析単独では安定した透析治療が行えない場合、つまり透析不足や体液過剰が生じる場合に、透析量を増加させ、体液コントロールを改善するために血液透析を追加治療する方法のことです。1993年より本邦で報告され、普及し始めました。
その後、2010年より保険適応が認められ、2013年の日本透析医学会のデータでは、PD実施患者の約2割がHDとの併用を行っています。この治療は、世界的に見ても実施している国は少なく、本邦独自の治療法と捉えることもできます。

PD-HDハイブリット療法には、どんな利点と欠点があるのでしょうか? 最近の論文では次のような報告がされているようです。

図:PD-HDハイブリット療法の利点と欠点

PD-HDハイブリット療法の適応基準とスケジュール

では、どんな方がPD-HDハイブリット療法の対象となるのでしょうか。適応症例の基準は「JSDT(日本透析医学会)2009 腹膜透析ガイドライン」にも示されていますが、主に下記の3点が挙げられていました。

図:PD-HDハイブリット療法 適応症例の基準

また、一般的な実施スケジュールは、腹膜透析5日、血液透析1日、腹膜休息1日で、週に1日は透析をしない日があります(図)。
ただ、組み合わせは色々とあり、施設によっても異なるので、主治医の先生と話をしながら決めていくのが良いと考えます。

図:PD-HDハイブリット療法 スケジュール(例)

講演では、実際にHD-PDハイブリット療法を実施している患者さんのインタビューも紹介されていました。

HD-PDハイブリット療法に対する意見

・精神的に楽である
・腹膜透析をしない日がある
・健康状態が把握しやすい
・尿量が維持できている
・自由な時間が作りやすい

一方で、PD-HDハイブリッド療法の普及に際しては、以下の問題点も挙げられていました。

HD-PDハイブリット療法 普及への課題

(1) 併用療法の開始基準、中止基準ともに議論の余地がある。すなわち、まだ確定した基準がない
(2) 被嚢性腹膜硬化症の発症や生命予後についてはエビデンスが少なく、今後の課題である

こうした課題もあるとはいえ、HD-PDハイブリット療法は、透析療法の治療選択の一つとして期待されるところです。講演でも、

(1) 腹膜透析と血液透析の組み合わせは有効であり、相乗効果が期待される
(2) 血液透析施設が遠方にあり、通うことが困難な地域では普及しやすい
(3) エビデンスの確立や海外への普及を目指していきたい

との旨が述べられ、司会者からも「腹膜透析と血液透析のメリットを享受できるようになれば良い」との言葉で締めくくられ、閉会となりました。

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