家族はどう向き合うべきか 〜高齢患者さんに幸せな生活を過ごしてもらうために
高齢者は、病気や治療への理解不足のほか、「長く生きたのでもう何もしなくてよい」、「痛いことはされたくない」、「家族に迷惑をかけてしまう」という気持ちから、透析を拒否しやすい傾向があります。家族は医療者とともに、高齢者が拒否している理由を把握して、透析とともに過ごす第2の人生を受け入れてもらうことが重要です。
治療においては、患者さんの意思決定を尊重することが最重要です。意思決定能力のある高齢者が病気と治療を正しく理解したうえで治療を拒否することもありますが、意思表示のできない高齢者の場合は、治療の選択は家族に任せられます。選択に従って治療を行い、その後、患者さんが亡くなった時に、家族は「自分の選択は間違っていなかったか」などと、長期間悩むケースもあります。家族が、高齢者の意思を尊重した治療方針を決めやすく、また、死後の後悔も少なくなるように、事前指示書を作成してもらうか、口頭で意思を表示してもらっておくことが重要です。
子が親に対して、延命治療についての意思を確認するのは難しいことです。しかし、本人が望む治療やケアをさせてあげられるのは家族だけであり、遅くともADLに支障が出現した時には、勇気を持って、高齢者が希望する治療とケアの内容を確認しておくことが重要です。