透析の合併症

動脈硬化

土谷 健 先生

2016.06.03

土谷 健 先生(東京女子医科大学 教授)

動脈硬化の治療

動脈硬化の治療は、症状と障害血管の部位や程度をふまえて行われます。基本的な生活習慣の是正、管理がスタートですが、通常は薬物療法を行います。
ワルファリンやチクロピジン、アスピリンなどは、血液の凝固系や血小板などに作用して、血液が固まって血栓を作るのを予防します。いわゆる“血液をサラサラにする”治療です。
最近では、新規抗凝固薬(Novel Oral AntiCoagulants:NOAC)と称される、血液が固まる機序に直接作用する新しい治療薬が登場していますが、残念ながら透析の患者さんでは、腎からの薬物排泄がないので、使ってはならないことになっています。
さらに症状が進んでいる場合には、血管インターベンションといって、カテーテルを使い、血管の狭窄や閉塞の部位を風船(バルーン)を膨らませて広げたり、その部位にステントと呼ばれる金属製の網目状の筒を血管内において、血管を広げて血流を回復させる治療を行います。また、外科的な治療としては、血管の閉塞部位をバイパスするように、人工や自分の血管をつないで血流を回復する処置を行います。
特殊な方法ですが、LDLアフェレーシスといって、動脈硬化の原因とされるLDLコレステロールを血漿から除去して硬化を抑制しようとする方法もあります。もともとアフェレーシスとは「分離」という意味で、血液成分を様々な分画に分離して、原因となる成分を廃棄してしまおうという治療方法です(図)。

図:動脈硬化の治療

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