透析療法の基礎知識

透析量を増やすために~血流量

前田 兼徳 先生

2017.04.07

前田 兼徳 先生(前田医院 副院長)

高血流量透析と心臓・血管への負荷、生命予後について

高血流量透析を行うと、静脈へ戻る血液の量が増加して、心臓へ戻る血液の量が増え、心臓や血管への負担が増すのではないかという懸念が一部に存在します。しかし最近の研究(*1)では、1回の血液透析(血液透析濾過)中に血流量を高血流(360mL/分~400mL/分)から通常血流(200mL/分)、そして再び高血流に戻しても、心拍出量や下大静脈の太さに変化がないことが分かっています。
もともとの高流量シャントによる心臓への負荷は慎重に対応されるべきですが、透析中の血流量はシャント血流の一部を使用しているにすぎず、高血流透析そのものによって心臓の負荷が増える可能性は低いと考えられます。
また、血流量と生命予後との関係については、2009年の研究結果があります。報告では、血流量200〜220mL/分の場合と比べて、血流量が大きいほど1年後の死亡リスクが減少し、逆に血流量が小さいほど1年後の死亡リスクが増加していました。血流量300mL/分以上でも良好な生命予後が示されており、血流量の増加が生命予後の改善につながる可能性が示唆されています(*2)。

血流量はテーラーメイドに調整されるべき

一方で、食事摂取が十分でない高齢透析患者さんや低栄養透析患者さんの血液透析では、アミノ酸やカルニチン、微量元素といった、体内に必要な小分子の過剰な除去や、透析後の低リン血症、低カリウム血症に気をつける必要があります。このような場合は、血流量や透析液流量をあえて減らすこともあります。血流量は、透析中でさえも変更が簡単なので、患者さんの体格、体調、透析前後の検査データ、症状に応じて、テーラーメイドに調整されるべきものであると私は考えています。

*1 鈴木 一裕ほか, 透析会誌 48(4): 239, 2015
*2 日本透析医学会, 図説 わが国の慢性透析療法の現況 2009年12月31日現在: 71

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