透析量を増やすために〜頻度(頻回透析)

透析療法の基礎知識

透析量を増やすために〜頻度(頻回透析)

一色 啓二 先生

2017.02.03

一色 啓二 先生(富田クリニック(本院) 院長)

頻回透析を実現するには、在宅血液透析が現実的

現在の保険診療のなかでは、頻回透析は施設よりも在宅で実施する方が適当で現実的で有用です。同じ透析スケジュールの短時間頻回透析を比較すると、在宅の方が施設よりも “元気で長生き”でき、献腎移植をした方とほぼ同じ“長生き”ができるという結果も報告されています(*2)。
私どもの施設では、週4回、あるいは2週間に7回の、2日空きを作らない隔日透析で、1回7~8時間のオーバーナイトの在宅透析を行っています。厳密には頻回透析の定義を満たしていませんが、HDPが85~128となり、自覚的にも他覚的にも良好な経過を得ています。

頻回透析の課題

もちろん頻回透析はいいことばかりでもありません。解決していかねばならない問題もたくさんあります。
頻回に透析すること(特に長時間頻回)によって尿毒症物質をよく除去できる反面、必要な物質まで捨ててしまうこともあります。頻回透析・長時間透析にあった透析液の開発が望まれます。
また、透析のたびにシャントを穿刺するため、血管の損傷具合や感染のリスク増加といったバスキュラーアクセスの問題も生じます。ボタンホール穿刺を用いることは、その問題の解決の一助になるでしょう。
ほかにも、透析回路などの医療廃棄物の増加の問題があります。特に在宅血液透析における専用機器の開発が求められます。
加えて、透析を行う時間・回数が増えますので、それによる時間的な社会生活の制限があります。オーバーナイト透析は、この制限を解決できるやり方と考えています。

透析スケジュールが選べる時代に向けて

こうした問題を解決・緩和して、長時間透析・頻回透析を含め、透析されている方の生活にあった“元気で長生き”できるスケジュールがフレキシブルに選択できること、そして、そのような「腎代替療法」である透析が、全国どこでも提供できるようになることを願ってやみません。

*1 日本透析医学会, 維持血液透析ガイドライン:血液透析処方. 透析会誌 46: 587, 2013
*2 Kjellstrand CM, et al., Nephrol Dial Transplant 23(10): 3283, 2008

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