透析療法の基礎知識

シャント作製の流れ

小川 智也 先生

2016.06.10

小川 智也 先生(埼玉医科大学総合医療センター 専任講師)

シャントの手術はどういうものですか

シャント手術では何をするのですか、と尋ねると、“動脈と静脈をつなぐ手術”と多くの患者さんが答えられますが、それだけでは不安しか残りません。そこで、もっと納得し安心していただくために、ぜひ知っていただきたい事があります。

手術が成功するために必要な条件は何だと思いますか?ーーそれはズバリ、良好な血管を選ぶことにあります。
手術の成否には、いい動脈といい静脈を選ぶことが大きな影響を及ぼします。“私の血管はボロボロだから・・・” という患者さんも、多くの場合、部位によって血管の状態がいいところ、悪いところが混在します。したがって、手術を行う先生、あるいはできる先生が、早期に血管の状態を判断しておくことも重要です。

では、患者さんにできることはあるでしょうか? それは、シャントを作ることになりそうな部分への採血を避けることです。事前に外来の担当の先生と打ち合わせて、採血する部位を決めておくことは有効な方法です。特に糖尿病をはじめとする、長期間の診療を受けられてきた患者さんにとっては重要です。また、検査室の看護師さん、スタッフさんは意外とご存じない方が多いので、ぜひ、患者さんから先生に声をかけてみてください。

手術の流れ(埼玉医科大学総合医療センターの場合:病医院によって多少異なります)

では、シャント手術の流れを以下の図に示します。あくまでも当院での流れなので、参考までにご覧ください。
腎臓病外来で、透析の準備が必要と判断されると、腎不全療法選択外来を受診していただき、血液透析、腹膜透析、腎移植の説明を受けます。その後、主治医と相談し、患者さんにあった療法選択を行います。血液透析を選択した場合は、さらに手術担当医の診察を受け、おおよその手術プランを立てます。
手術日の枠が確保でき次第、病棟担当から連絡があり、入院となります。入院後、手術担当医と一緒に、手術部位、方法等の最終確認を行います。手術前日の夜までは、食事や水分摂取は普段通りに行っていただきます。
手術直前は、食事、飲水は中止です。手術開始前までに病衣に着替え、抗菌薬などを投与する点滴ラインを確保します。手術室へ入室する際に、あらためて手術内容を確認します。
手術は基本的に局所麻酔で行われます。皮膚切開され、シャント手術が行われます。その後、血流を再開してスリルがあれば、手術終了です。
手術後は、シャントが流れていることを患者さん自身が確認しながら、創部の清潔管理をします。
血流が安定すると、穿刺が可能となります。穿刺までの期間が少しでも長いほうが、後のシャントトラブルが減るといわれています。

図:シャント作製の流れ(埼玉医科大学総合医療センターの例)

シャントが使えるまでの時間を考慮しましょう

シャントは、実際に使えるまでに時間を要します。患者さん自身が次の目標を持てるよう、納得できる透析導入ができるよう、腎臓病外来の担当医としっかりコミュニケーションを取りながら、前もって精神的準備、身体的準備を並行して進めていくことが大切です。

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