内シャントを作製すると何が変わるのか?
内シャントは透析を順調に行うために必要なものですが、当然のことながら、生まれながら持っている正常な状態ではありません。このため利点・欠点があります。
■利点
体表にシャント静脈が確認できるようになると、穿刺が可能となります。異物が体内に挿入されるわけではありませんので、ルール通りに清潔を維持できれば、感染のリスクは低く保持できます。
■欠点
一つ目は透析の際の穿刺痛でしょうか。献血をされたことがある方はお判りかと思いますが、針が太いので穿刺の際は痛みがあります。しかし最近では、穿刺痛を低減するパッチなどが使用できますので、担当医と相談してみてはいかがでしょうか。
二つ目は、圧の低い静脈内に高圧の動脈血を流しますので、血管の狭窄が起きることがあります。このような場合には、透析効率の低下を招いたり、ある日突然シャントが閉塞することがあります。ひいては透析施行ができなくなるなど、大きな問題です。以前はそのたびに再建をしなければなりませんでしたが、近年、経皮的に折りたたんだ風船を挿入し、病変部で拡張させて内腔を維持する治療法(PTAといいます)が確立され、多くの施設で行われています。
三つ目は、血流の過剰による心臓への負担がかかることです。通常、私たちのひじの動脈には100mL/分程度しか血流はありません。しかしシャント作製によって、500〜1000mL/分の血流が流れるようになります。時にシャントが大きくなりすぎて、それ以上の過剰血流となることがあります。通常心臓の予備能がありますので問題ないことが多いですが、体格の小さな方、心臓の予備能力が少ない方には、体動時に息切れや胸痛などの心不全兆候が出ることがあります。そのような兆候が少しでもあれば、担当医と相談し、超音波検査等で過剰血流がないかの検査が必要でしょう。
あとは、体表血管がルイルイと体表に浮き上がることがありますので、審美的な問題もあるかもしれません。
シャントの寿命はあるの?
先ほどお話ししたように、透析をするために本来無い機能を作製したものですから、狭窄や閉塞で使用できなくなることがあります。また週3回、1回2本の穿刺を行いますので、年間では310回以上の穿刺が必要です。このために、徐々に血管が荒廃し、使用できなくなることもあります。その場合、PTAでの治療や人工血管を用いたシャントなどの作製が必要となることもあります。また、荒廃が進むと、非シャントのアクセスが必要となるケースも生じます。