動物性蛋白質とリン・カリウム・塩分の摂取量は比例する
「リンは乳製品、カリウムは生野菜と果物」と単純に考えると一見わかりやすいかもしれませんが、そこにもう一つの知識を加えてみましょう。それは「リン、カリウム、塩分は動物性蛋白質でまとまる仲間」だということです。
リンは動物の細胞成分であり、カリウムは細胞の中にたくさん存在します。皆さんは、魚や肉、たとえばそれが最高級牛肉だったとしても、味付けしないで食べられますか?果物にはそれぞれの味があり、野菜は味付けしなくても、素材の風味を楽しむことができます。しかし、魚や肉はソースや醤油などで味付けしないとおいしくいただけませんね。
もうおわかりかと思いますが、「味付け=塩分」ですね。動物性蛋白質の摂取量とリン摂取量、カリウム摂取量、塩分摂取量は見事に比例するのです。
栄養指導は、食事をおいしく安心して食べるための、食材の選びから調理方法の工夫を学ぶ機会と考えましょう。
自分の身体を使った実験で、食事療法の基本を体感しよう
今回は、透析患者さんの食事療法の基本をお話ししました。食事療法の工夫などは、栄養士が今後のシリーズで詳しく解説します。ここでお話しした前提条件やカラクリを頭において、皆さんの食事生活を豊かにしていただきたいと思います。
リン、カリウム、塩分、カロリーなどなど、一気に理解するのは難しいものです。栄養士、担当医師、透析室スタッフと相談して、一つテーマを見つけたらどうでしょう。たとえば、「今回は塩分をやります」と宣言して、何をどのように食べたら体重がどのぐらい増えるのか、口渇はどうなるかを実験してみるのです。ただしその時は、リンやカリウムには(程度にはよりますが)ちょっと目をつぶってもらいましょう。実験を通して塩分と体重の関係を実感することが大切で、それは自分の体を知る生きた知識になるでしょう。