食事のポイント

透析患者さんのエネルギー摂取

矢吹病院 健康栄養科

2016.04.28

矢吹病院 健康栄養科

透析患者さんの必要エネルギー摂取量

日本腎臓学会では、透析患者さんのエネルギー摂取量の基準値を標準体重(標準体重=身長(m)×身長(m)×22)あたり30~35kcal/日と定めています(表)。つまり、計算上では身長160cmの人であれば、標準体重は56.3kgになりますので、1日に約1,700kcal~2,000kcalのエネルギー摂取が必要ということになります。

表:透析患者さんの食事療法基準

しかし、必要なエネルギー量は性別や年齢、合併症、身体活動量などにより異なるため、個人差があります。よって、基本的には体重(ドライウェイト)の変化を観察して、体重が減っていたり増えていたりするようであれば、必要に応じて食事内容を調節するようにしましょう。

エネルギー摂取を増やすための工夫

長期に食欲不振が続き摂取するエネルギー量が不足すると、栄養状態の悪化につながります。それを回避するためには、まずは食欲不振の原因を探ることが重要です。食欲不振の原因は多岐に渡ります(図)ので、個々の患者さんの原因に合わせた対応が必要になります。

図:透析患者さんの食欲低下の原因

次に、食材や調味料、形態や調理法などの工夫でエネルギー摂取量の増加を狙います。食材は食べやすい硬さや大きさにする、好みの味付けや食材などを積極的に取り入れる、揚げるや炒めるなど油を使った調理法を取り入れる(表)などの工夫で、摂取量、摂取エネルギー量が増えることがあります。

表:調理法で変わるエネルギー

また、高齢患者さんは1回の食事量が少なくなる傾向にあります。3回の食事以外にも、間食として菓子類やパン、栄養補助食品などを摂取することもよいでしょう(図)。

図:矢吹病院で使用している低栄養患者さん向けパンフレット

ページ上部へ